ハムスターの『医』『食』『住』

ここではハムスターの健康と幸福を支える基本知識を医療（健康）、食生活、住処に分けて学べます。

大事なペットに幸せに長生きしてもらう為に、一緒に勉強をしていきましょう。

『医』

ハムスターの健康管理

ハムスターの健康管理

つめと歯の処理

爪は歳をとったり、栄養状態が悪いと過長（かちょう）する可能性があります。この状態では、カーペットなどに爪が引っかかり怪我をしてしまう恐れがあります。
なかなか自宅で爪をきることは難しいですが、ニッパーや人間用の爪切りでいいので、血管を避けて先端を切ってあげてください。

また歯も過長することがあります。予防するために小枝など噛ませてあげて歯を削ります。
最近は歯の摩耗材もペットショップに売っています。

ハムスターの健康管理

ブラッシングの重要性

春と秋の特定の季節に全身の毛が生え替える「換毛」があります。

時期や個体に差はありますが、ハムスター自身が通常グルーミングし、この事故を迎えます。

しかし時々飲み込んだ毛の排出がうまくいかず、胃や腸の中で大きな球状になってしまう「毛球症」を引き起こしてしまうことがあります。長毛のハムスターは特にまめにブラッシングをしてあげてください。

ハムスターの健康管理

直腸脱（ちょくちょうだつ）

直腸脱（ちょくちょうだつ）：これは壊死した直腸がお尻から出てしまう病気です。
必ず病院へ連れて行ってあげてください。出ている部分は切除し、縫合する必要があります。
かじろうとしていたり、床に擦り付けようとしている場合は、止めてください。
腸の部分が乾燥するのも良くないので、オイル等を塗って保湿してあげてください。

ハムスターの健康管理

消化器疾病（ウエットテイル）

消化器疾病：①黄色の下痢をする②脱水症状が出る③食べているのに痩せる等の症状がある場合は消化器疾病と言われる疾病の可能性があります。
離乳したばかりハムスターが発症することが多く、細菌・ウィルス・寄生虫・ストレス（離乳時、過密飼育）等の原因が考えられます。
抗生物資と整腸剤を病院でもらって、しっかり安静にしてあげる事が大切です。

ハムスターの健康管理

呼吸器疾病

呼吸器疾病：①元気がない②体全体で呼吸をしている③鼻に黄緑色・茶色で少し匂いがする鼻水がある（膿性鼻汁）④目やに（眼脂）等の症状がある時、呼吸器疾病の可能性があります。

原因は急激な気温変化や不潔な環境、換気不良によるストレスです。
ケージ内の清掃と室温を適温にしましょう。
発症してしまったら病院へ行き発生抗生物質の投与を投与してもらいましょう。

『食』

ハムスターにとってベストな食事

ハムスターにとってベストな食事

与えてはいけない食事

玉ねぎ：げっ歯目の赤血球を破壊する成分が含まれています。
長ネギ、ニラ、ニンニク：ハムスターには刺激が強すぎてお腹を壊す原因になります。
チョコレート：成分のテオプロミンとカフェインが腎臓障害や神経症を引き起こすことがあります。
アボカド：実、種、茎、枝すべてにハムスターにとって有毒成分が含まれています。食べると、けいれん発作や抗うつ、呼吸困難、肝障害を引き起こすことがあります。
ウメ、モモ、ビワ、アンズ ：種の中に含まれるアミグタリンを摂取すると、呼吸困難や心臓麻痺を引き起こすことがあります。
食べさせていいもの、ダメなものをしっかりと飼育する前に確認する必要があります。

ハムスターにとってベストな食事

健康な食事とは？

ハムスターにも1日に必要な栄養が決まっています。
タンパク質：1日に食べる餌に対して18-19%必要量とされ、成長期や妊娠個体では、24％以上のタンパク質が理想的です。
脂肪：1日に食べる餌に対して5％必要です。
可消化エネルギー：1日に食べる餌に対して4.2kcal/g必要です。
必要な栄養量をしっかり確保して、ハムスターの健康を管理してあげましょう。

ハムスターにとってベストな食事

水分量と飲料ボトル

ハムスターの正常な1日の飲水量は体重の約10％です。

また、水やりには飲水ボトルの利用が便利です。

  • ちゃんと飲める位置に設置しているか。
  • ノズルはステンレスか？
  • ボトルの内部に藻は発生していないか？

藻が生えてしまうとそれを口にして下痢をしてしまう危険性があります。

毎日設置位置と清潔さを確認してあげましょう。

『住』

ハムスターにとって最適な住環境

ハムスターにとって最適な住環境

砂浴び場所の確保

ハムスターは大の綺麗好き。
シャンプーや入浴の必要はありませんが野生では乾燥した地域に住んでいる為、乾いた砂に体を擦り付けて汚れやダニを落として健康を保っています。
飼育の際には専用の砂浴び場所を確保してあげましょう。
砂は細かい粒子のものがよく、トイレと分けてあげる事をお勧めします。

ハムスターにとって最適な住環境

住処の選び方、作り方

広いゲージの方が、狭いゲージよりもハムスターにストレスがかかりにくいと研究結果があります。
ただ、それだけではなく内装にもこだわる必要があります。
狭いところに落ち着く習性もあるので、木製の小さい家等をケージ内に置いてあげると、そこに落ち着いたりもします。
なるべくストレスのかからないようにしてあげる事が最重要です。

引用元情報

[1] Guerra, R. F., & Nunes, C. R. O. (2001). Effects of litter size on maternal care, body weight and infant development in golden hamsters (Mesocricetus auratus). Behavioural Processes, 55(3), 127-142. https://doi.org/10.1016/S0376-6357(01)00174-7

[2] Fischer, K.、Gebhardt-Henrich, S.、および Steiger, A. (2007)。4 つの異なるサイズのケージで飼育されたゴールデン ハムスター (Mesocricetus auratus) の行動。動物福祉、16(1)、85-93。土井:10.1017/S0962728600030967

[3] 霍野晋吉（2015）．ペット栄養学会誌，18（2）：P.113-116，2015。

[4]三鷹獣医科グループ　院長　小宮山典寛.ハムスターの専門医療とハムスターの飼い方と病気,
(Online), https://www.pet-hospital.org/exo-012.htm#d(2023-06-15)

[5]Exotic Pet Clinic 霍野晋吉.hamster. 畜産情報ネットワーク

[6]九州大学 大学院農 学研 究院、森本ゆ り・宮本浩徳 ・古瀬充宏、ドワーフ ハムスターにおける飼料の選択.ペット栄養学会誌,第9巻　(第2号):91-972,2006